飯田市上郷飯沼のリニア中央新幹線県内駅の周辺整備(6.5ヘクタール)で、市は11日、基本設計案を発表した。駅舎から南北に延び、駅のシンボルとなる木製の「大屋根」は木格子から、3次元的な「樹状形状」に変更した。大屋根の計画面積も当初の2ヘクタールから1.6ヘクタールに見直し、うち約1.1ヘクタールを開業時までに先行して整備する。概算事業費は91億円。
第6回リニア駅周辺整備デザイン会議に示した。
長野の森林文化を表現するため、大屋根は各地の無垢(むく)材を利用する方針。地域林業の状況に合わせ、比較的入手しやすいスギ、ヒノキ、カラマツを想定。多期にわたる段階的な建設や、将来的な拡張にも柔軟に対応できる仕組みを実現するデザインと工法を引き続き検討していくとする。
91億円のうち整備工事費は41億円。乗り換え新駅はJR東海との調整を含め未確定とし、現段階では概算事業費に盛っていない。
施設の運営や維持管理、保守点検など、駅周辺のランニングコストとして年平均6500万円が必要となる見通し。
2017年6月の段階では駐車場は750台分としていたが、当面500台程度の平面駐車場を整備する。
大屋根の段階的な整備に関する方法、時期、規模といった検討を実施に向けた課題に挙げる。乗り換え新駅は技術的な観点からも検証し、JR側との調整を進める考え。新たなモビリティサービスを見据えた2次交通への対応も検討。また国土政策として明確に位置付けた上で、中間駅に対して積極的な支援を行うよう国への働き掛けを強化する。
実施設計に向け、大屋根、エネルギー・モビリティ、官民連携、グリーンインフラ、インフォメーション・魅力発信機能といったプロジェクトを立ち上げて計画を進める。
計画によると、基本設計は10月にパブリックコメント(意見公募)を実施し、その後修正を加えて年内に確定させる。市は開会中の市議会定例会に提出した本年度一般会計補正予算案に、県内駅周辺整備の実施設計準備費用として3000万円を計上している。
市は今年3月に、駅周辺整備の基本方針となる「デザインノート案」を公表。昨年度中としていた基本設計の策定を半年間延期し、事業費などを精査していた。
◎写真説明:「大屋根」のイメージ