リニア中央新幹線や三遠南信自動車道の開通を見据えた飯田市観光振興ビジョンの策定検討委員会(座長・佐藤博康松本大学教授)が16日、同市高羽町の飯田文化会館であった。観光関係者による委員8人が出席。観光振興の柱に見据えた6項目のうち、地域の観光業に関する市民意識や望ましい市場、観光資源などについて意見を交わした。
市観光課によると、市の中長期的な観光振興指針は初めてで、市民意見も取り入れながら来年度中の策定を見込む。ことし9月に市から同市産業振興審議会に策定が諮問され、同審議会が策定検討委に原案の作成を求めた。検討委は市内の観光協会や商工会議所、旅館組合の代表者や有識者ら9人で構成する。
16日の協議のうち、望ましい観光事業のあり方をめぐっては「(大規模な団体旅行客など)マスツーリズムを切り捨てるわけにはいかないが、京都のように物見遊山とはいかない」「何回も来てもらえるための中身の工夫が大切」などの意見が出た。
佐藤教授は県内の外国人観光客が年間1000万人に達し、東京五輪がある2020年には2倍を超す見通しを示し「東京だけでは容量オーバーで、積極的に受け入れるべき。外国人が必ず乗りに来るリニア時代の準備にもなる」と指摘。観光業者だけでなく、観光客を迎える市民意識の醸成を期待した。
観光資源については、魅力や対象などに応じた区分けに基づき、委員各自が来年1月中旬ごろまでにまとめることにした。次回は来年1月下旬に▽観光資源の商品化・提供するためのスキルテクニック▽地域人材の参加とネットワーク、能力開発―の2つの部会に分かれて議論を深める。