JR東海 リニア調査報告書提出へ、県の同意得ず

リニア中央新幹線

[ 2009年 11月 14日 土曜日 14時37分 ]

 2025年に東京―名古屋間の先行開業を目指すリニア中央新幹線計画で、JR東海の宇野護執行役員は12日、国土交通省から指示を受けた工事費や輸送需要量など4項目の調査について、近く報告書を提出する考えを示した。同省が求めた地域との調整について「丁寧にやり、理解を深めていただけた」と強調。ルート選定をめぐって複数の意見がある本県の同意を得ない意向も明らかにした。

 松本市で県内5地区の期成同盟会関係者に東京―大阪間の試算内容を説明した後、報道陣の質問に答えた。

 国交省への報告書の提出について「取りまとめを進めている。できる限り早くしたい」と説明。指示を受けた際に求められた地域との調整については「これまで丁寧にやらせていただいた。報告するに当たっての内容がカバーできた」との認識を示し、「(今回が)一つの区切りだろうと思っている」と話した。

 県内は、地域によって同社が想定する南アルプスルートを支持する意見と、諏訪を迂回する伊那谷ルートによる実現を願う声で分かれているが、報告書の提出に際して県の同意を得ない考えも明示。「(国交省からの)調査指示は、調整を図るということが前提だったが、ルートについて合意せよとは指示されていない」と強調した。

 一方、県の松沢宏明交通政策課長補佐は「県としては調整がはじまったとは認識しておらず、その前段の情報共有の段階だと考えている」と主張。伊那谷ルートによる実現を訴えている小坂樫男伊那市長は「JRに唯一反論できる手段は経済効果の試算だ。県独自に進めてほしい」と話した。

 飯田下伊那地域から出席した関係者たちは、飯田駅設置が固まる南アルートの実現に、また一歩近づいたと評価した。宮島八束・飯田商工会議所会頭は「大きく前進すると期待できる話を聞き、勇気付けられた。地元としてしっかり準備を進めたい」と語った。

 JR東海は、地区別も含め5回にわたって説明会を開き、県内5地区の期成同盟会関係者に4項目調査の内容を説明してきたが、伊那谷ルートを求める一部地域の理解は得られていない。この日の説明会でも、上伊那や諏訪地域の関係者から試算そのものへの疑問や、南アルプストンネルの実現性を不安視する意見が相次いだ。

  

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