飯田市羽場まちづくり委員会振興部(尾澤隆部長)は23日、大平街道の市ノ瀬橋から500メートルぐらい上った林道南沢線への分岐点付近に「大平街道旧道入口」と記した案内看板を設置した。林道南沢線経由で旧道をたどると飯田峠まで現道に比べ約半分の2時間ぐらいで歩けるとの説明文も添えている。
同振興部は先月23日に森林インストラクターの道案内で実際に旧道を飯田峠まで歩き、旧道の現況調査と不明の三十三観音を探した。三十三観音は発見できなかったが、台座らしきものが見つかった。旧道には、黒川から引水した直径20センチの鋳鉄管の露出しているところや、高さ2・5メートル、長さ4メートルぐらいの水槽などが残存しており、先人たちの努力と苦労に感銘を受けたという。
現在の大平街道は明治30年代に大改修工事が行われて今日に至っている。それまでは、現在の道より下の沢沿いに旧道があった。同振興部はことし6月、旧道下の松川べりにあった石造の「振袖道標(ふりそでみちしるべ)」を現道に引き上げ、世に出している。
今回は「旧道を整備し、市民にも旧道の存在を知ってもらいたい」(尾澤部長)と旧道入口の案内看板を設置した。作業には同振興部のメンバー6人が参加。「振袖道標」を建立した松川入林道への分岐点の反対側にある林道南沢線への分岐点と、飯田峠の旧道入口の計2カ所に案内看板を取り付けた。飯田峠は積雪が10センチほどあり、尾澤部長は「ことしのうちに設置しないと飯田峠が雪に埋もれてしまう」とホッとした表情で話していた。