JR東海は10、11日の2日間、老朽化のため今月末で引退する飯田線専用車両119系の記念イベントとして「ありがとう119記念号」を飯田駅~伊那市駅間で運行している。新旧両カラーが飯田駅に停車し、写真撮影できる最後のチャンスとあって多くの鉄道ファンがカメラを向けた。
119系は、直流近郊形電車として旧国鉄が1982(昭和58)年に製造、83年に入線した。2009年、1編成が復活して「幸せの青い電車」として話題になったデビュー車両は、伊那谷の青空や天竜川をイメージしたスカイブルーを基調に、南アルプスに浮かぶ雲をモチーフにした1本の白いラインをあしらった。87年の国鉄の分割民営化後はJR東海が継承し、クリーム色の車両に緑色とオレンジ色のラインが入った。
約30年間にわたり飯田線の輸送を担ってきたものの老朽化が進み、昨年12月から中央西線などで利用されていた銀色基調の213系、313系への更新が進められ、119系は今月末で姿を消す。
10日から31日までを「ありがとう119ウィークス」と位置づけ、この日が初日。1編成しかない青色車両には「ありがとう119」のヘッドマークが付けられ、飯田駅にゆっくりと停車。午後0時55分に事前予約した団体102人を乗せて出発し、車内では乗車証明書が記念配布された。
飯田駅到着から出発までの約1時間は青色、白色の119系がそろって並び、ホーム上で自由に写真撮影できる時間が設けられた。見納めとあって多くの鉄道ファンや愛用してきた人たちが見送りに訪れ、地域の動脈として働き続けた労をねぎらいながら最後の姿を写真に収めていた。