県飯田建設事務所(三井宏人所長)は13日、都市計画道路「羽場大瀬木線」の一部で、飯田市の羽場、鼎切石の両地区にまたがる「新松川大橋(仮称)」の工事現場見学会を開いた。地元住民ら約50人が参加し、高さ約20メートルの橋げたに上り、架設の様子を間近に見学。今後の安全を願いながら、来年秋の開通予定を待ちわびた。
全長331メートルに及ぶ橋梁工事の中間報告を兼ねて、羽場、鼎、伊賀良の3地区のまちづくり委員会などでつくる同線改良促進連絡協議会(会長・林憲世羽場まちづくり委員会長)の関係者らを対象に実施。参加者たちは羽場側の道路工事現場で事業全体の説明を受けてから、松川を挟んだ切石側の橋げた上で、橋梁工事の様子を把握した。
橋げた工事は羽場、切石の両側から進行中。説明会では、移動作業車を使い、橋台を支柱にやじろべえのように左右のバランスをとりながら、コンクリート製の橋を延伸していく「張り出し架設工法」のほか、全幅22メートルの4車線橋梁の一括施工は全国的に珍しいことなどが紹介され、参加者らの興味を引いていた。
羽場大瀬木線は中央自動車道の松川ICと飯田ICを結ぶ幹線道路の一部で、県は2002年から、羽場―切石―北方工区の約1・2キロの整備を約102億円かけて進める。来年度中に完成予定の新松川大橋を含め、延伸区間となる羽場側から切石の下山妙琴原線区間の供用開始は来年秋を予定。その先の飯田IC間を結ぶ全線開通は平成20年代後半を目指す。
飯田建設事務所は事業効果として、飯田ICからJR飯田駅までの車の所要時間が現在の約18分から約6分に短縮すると試算。国道256号の朝晩の渋滞の解消や交通事故の回避、中央道の迂回路の確保なども期待している。
同協議会の林会長は「実際に橋げたに立ち、規模の大きさを感じるとともに、着実に開通が近づいているという実感がこみ上げた。交通の利便性が向上し、様々な地域振興への貢献が大いに期待されるだけに、開通が待ち遠しい」と期待。三井所長は「工事は安全かつ順調に進んでいる。全線開通に向け、引き続き支援と協力を願いたい」と話した。
同事務所と同協議会は羽場大瀬木線の事業概要をまとめたパンフレット2000部を作成し、同日に初めて参加者らに配布された。鼎と伊賀良の自治振興センター、羽場公民館などで入手できる。