飯田市松尾新井の「天竜舟下り」(牧野明仁社長)は30日、今季の「暖房こたつ舟」の運航を始めた。午前は計6そうが出航し、観光客たちが、のんびりと暖かい舟旅を楽しんだ。2月末まで。
「寒さや風を防ぎつつ、天竜川沿いの景色がよく眺められるように」と、透明な板で囲った舟内に豆炭あんかが入った長こたつを設置。水しぶきが飛び交う春―秋の豪快さとはひと味違った趣が好評で、30年近く続く冬の風物詩になっている。
朝は冷え込んだが、日中は穏やかに晴れた30日。午前10時に今季の初便が出発した。外国人向けのツアー企画の視察に訪れた旅行会社の一行や個人観光客ら約20人が乗り、弁天―時又港間の約6キロを35分ほどかけて下った。
観光客たちは道中、「鵞流峡」などの景色やカルガモの遊泳などを満喫。時には窓に打ちつける水しぶきや舟底を突き上げる川波もあり、体をのけぞらして歓声を上げていた。流れが穏やかな区間では窓を開け、心地良い風を受けていた。
冬季は連日午前10時から午後3時まで、1時間おきに6便を運航。定期舟は午前10時のみで、そのほかは10人以上の予約がある場合に運航し、舟内の空席状況に応じて個人客を受け付ける。
同社によると、天竜舟下りには例年、年間で約10万人が訪れており冬季は約1万5000人が暖房こたつ舟での運航を楽しんでいる。
同社はことし初めて試みた「新春祝い舟」を、来年も1月1日から運航する予定。こたつ舟に熊手をあしらったり、七福神が描かれた法被を船頭が着用したりして、新春の雰囲気を演出する。
運航状況や乗舟予約などの問い合わせは「天竜舟下り」(電話0265―24―3345)へ。