飯田市上郷別府の上郷考古博物館は11日、古代の食事を体験する「夏休み古代クッキング」を同館で開いた。帰省中の親子や地域の家族連れ11人が参加し、石器や土器を使ってご飯と豚汁、鮎の塩焼きの3品を作った。
毎年夏休みの時期に開催するワークショップ。6日には、滑石で勾玉や管玉を作る「玉造り工房」も行った。この日は、弥生時代と同じように野焼きした土器や石器で料理をする古代クッキングを開催した。
豚汁作りでは、ゴボウやジャガイモ、豚肉などを黒曜石のナイフでカット。けがをしないようしっかりと握ってそれぞれの具材を切った後、つるを取り付ける吊り耳が内側に付けられた土鍋で煮た。
使用した鍋は、中世に県内で使用されていた土鍋を模したもの。おこした火の上に置き、じっくりと煮込んでいった。ご飯は勝ち栗入りのものと雑穀米を用意し、底のすぼまった弥生土器で炊いた。炭をおこして鮎の塩焼きも作っていった。
それぞれの料理ができ上がるのを待つ間、回転棒を回して火種を作る「マイギリ式」と、火打ち石を使った火おこしを体験。火打ち石での火おこしは、石を打ち付けてもなかなかほぐちに火花を飛ばせず、苦戦する姿が目立った。
市澤英利館長から「とがった部分にカチンと石を当てるように」とアドバイスを受けながら何度も取り組み、おがくずを加えて息を吹きかけ火が出ると「ついた」「やった」と歓声が上がった。
料理が完成すると、竹を割った器などに盛り付け、全員で味わっていた。
同館では31日まで、小中学生は無料で展示を観覧できる。問い合わせは同館(電話0265・53・3755)へ。