手すき和紙「ひさかた和紙」の伝統を守る飯田市下久堅でこのほど、和紙の原料になるコウゾの収穫と皮むき作業が行われた。紙すき文化を受け継ぐひさかた和紙保存会(平岩宏保会長)が中心になって進め、今月から来月にかけてはたくりの作業を重ねる。
「ひさかた和紙の魅力を幅広い住民に知ってもらい、継承者の裾野を広げよう」と、体験会も兼ねて実施。収穫作業は柿野沢の三石牧場のコウゾ畑で、蒸し・皮むき作業は下久堅小学校で行った。
皮むき作業には保存会員ら約10人が参加した。
校庭の窯場で1・5~2時間、束にしたコウゾを煮沸。ゆで上がり、香ばしいかおりが一面に漂うと、次々と皮をむいた。
ことしは新たに三石牧場近くに8アールの畑を設けたことから、収量が倍増。下久堅小学生たちの作業体験もあった。
皮は乾燥させ、今後、表皮を取るたくり作業を行う。
繊維のみになった白皮を機械で細かくし、トロロアオイの粘液を加えて原料化した後、紙すきをする。
平岩会長(73)は「下久堅の宝物であるひさかた和紙に対し、住民の皆さんに関心を持ってもらい、盛り上げていただけるような取り組みを重ねていきたい」と話していた。