飯田市下久堅虎岩嵯峨坂の自生地で、ザゼンソウ(座禅草)10株ほどが開花した。同所は元々棚田だった湿地で、500株以上のザゼンソウガが自生しているとして、1995年に市の天然記念物に指定された群生地。自生地保護を目指す「虎岩の文化財を守る会」によると、3月いっぱいまで見ごろが続くという。
ザゼンソウはサトイモ科の多年草で、花のように見える赤紫色の仏炎苞(ぶつえんほう)に包まれた姿が、僧侶が座禅を組む姿に似ていることからこう呼ばれている。雪解けを待つ他の植物との競争を避けるため、約20度ほどに発熱して周囲の雪を解かし、芽を出すという。
守る会の池田健一会長によると、ザゼンソウの開花が確認されたのは20日ごろ。例年より1週間ほど早い開花で、「ここ1週間の気温の上昇で早まったのでは」と話す。
嵯峨坂は飯田下伊那でも数少ないザゼンソウの自生地で、現在は守る会が保護活動に当たっている。その他、駐車場や遊歩道の整備なども行い、昨年はムトス飯田の助成金を活用して案内看板を5カ所に設置した。
自生地は自由に見学が可能で、3月10日には守る会主催の見学会が開かれる。午前10時から。池田会長は「自生地は、ザゼンソウのほかにも植物が豊富で自然が豊か。ぜひ足を運んでほしい」と話している。
問い合わせは池田会長(電話090・7810・6588)へ。
◎写真説明:開花した嵯峨坂自生地のザゼンソウ(22日)