国連教育科学文化機関(ユネスコ)は日本時間の12日未明、飯田市や大鹿村を含む長野、山梨、静岡の3県10市町村にまたがる南アルプスを「エコパーク」(生物圏保存地域)に新規登録することをスウェーデンで開いた国際会合で正式に決めた。只見(福島県)も承認され、国内のエコパーク登録は7地域となった。
南アルプスの登録地域は、ことし指定50周年を迎えた国立公園を中心とする30万2427ヘクタール。北岳や赤石岳など3000メートル級の山々が連なり、固有種を含む自然が残る。環境保全とともに、農産物のブランド化や環境教育・エコツーリズムなども盛ん。登録を機に、これらの取り組みのさらなる促進が期待される。
1976(昭和51)年に始まったエコパークは、自然をありのままに保護する世界自然遺産とは違い、「生態系の保全と持続可能な利活用の調和」を目的にしており「自然と人間社会の共生」に重点が置かれている。
厳格な保護や長期的な保全が求められる「核心地域」、エコツーリズムや研修、教育目的に利用される「緩衝地域」、人が暮らし自然と調和した地域社会の発展を目指す「移行地域」の3区域で構成する。
3県10市町村は南アルプス世界自然遺産登録推進協議会の活動を展開。2010年にはユネスコエコパーク推進部会を設け、登録に向けて関係方面へ働き掛けてきた。ユネスコの諮問機関は先月、登録の「承認」を勧告していた。