夏山シーズンの到来を告げる南アルプス国立公園の開山式が5月30日、遠山登山口のしらびそ高原(標高1、918メートル)=飯田市上村=で開かれた。青空の下、南アの残雪を望みながら、関係者たちがことし1年間の安全を祈願した。
市や上村地区の関係者ら約40人が参加。南アに向かって神事を開き、拍手を打って登山者の安全を祈った。
しらびそ高原にある市営宿泊複合施設ハイランドしらびそ支配人で開山祭実行委員長の小池幹夫さんは「シーズン中、多くの方に足を運んでいただき、高原を満喫してほしい」とあいさつ。国内初の隕石クレーターがみつかった御池山やエコーライン、下栗の里、遠山郷との一体的な誘客を進めたいとした。
来賓らも次々と祝意を寄せ、南アを資源とする観光振興に期待を寄せた。
式典後は「南信州殺人神楽」などの著書で知られる同市出身の梓林太郎さんが「南アルプスの魅力とこれからの山岳観光」と題して講演した。
市などによると、南アルプスの登山者は年間9000人ほどで、うち約4400人が聖岳(標高3011メートル)や光岳(標高2、591メートル)などに登る玄関口として、遠山登山口を利用している。
高原にあるハイランドしらびそは、昨年から大浴場を1階に移し、3階を整備する工事を実施している。6月には完了する予定で、今シーズンは11月14日まで営業する。