飯田市環境技術センター入居企業と信州大学社会人大学院の合同研究成果発表会は25日、同市桐林の同センター内で開いた。入居する4社と同大学院修士課程修了者4人が、年間を通じて取り組んできた研究開発の成果を披露。経過や課題について意見交換し、次年度への弾みをつけた。
地域内の人や企業の新事業展開支援を目的に設置される同技術開発センター。現在はプロスク、三和精機、CMC総合研究所、総合保健センターの4社が入り、新たな研究開発に没頭している。また社会人を対象とする同大学院は働きながら時間外、または土日曜日などを使って単位を取得し、修士課程を習得する場として、今年度は4人が登録している。
2010年度の成果発表では、同センター内で起業して2年目、電子機器の設計、製造を手掛けるプロスクの久保田和人さんがLEDの蛍光管開発の現状を紹介。「企業単位でのエネルギー削減が求められるなか、1番簡単に取り組める省エネLED照明に着目した」とし、他企業との共同開発の中で、量産基盤や構造、生産工程の設計部分を担ってきた経緯を説明した。商品化直前まで進めてきたものの、商流の成立が困難として「資金面で次のステップに移行できない。海外も含め、パートナーを探していきたい」と成果や課題を示した。
また三和精機の沢宏宣社長は開発販売している市田柿専用皮むきヘタ取り機について解説。市田柿生産を支え、次世代農業従事者の促進を目的に開発した商品について「もう一歩、進歩する必要がある」と語り、新市場として参入した農業分野に続く新たな参画も計画していることを明らかにした。
また、大学院修了生研究発表では、多摩川精機に勤める4人が、それぞれが所属する研究所での研究開発経過について発表した。
工業技術センターの涌井正浩センター長は「先が見えない混沌とした状況だが、新しいビジネスモデルを作り上げ、ここから巣立ってもらいたい。大学院もスキルを持った人材をどんどん輩出していければ」と話していた。