売木村は、標高が高く夏に冷温な環境を生かし、陸上長距離や競歩選手の夏季強化合宿を招いて村の活性化につなげようと取り組み始めた。ことしは実績をつくろうと元五輪競歩選手の酒井浩文さんを通じて、酒井さんの後輩にあたる国士舘大学陸上競技部競歩の選手を誘致。同じ標高の他地域に比べても、湿度が低く疲れにくいことなどから、同大の選手やコーチからも高評価を受けている。
今回誘致した学生選手は8月1日から同村に滞在。昨年同大が合宿した諏訪湖沿岸と同村の標高は同程度だが「湿度が低く、疲れにくいので長い距離の練習ができる。諏訪湖では暑さのため午前中の練習だけでぐったりとしてしまった」と同大の渡辺良子コーチ。
また、村内の生活道路も緩やかな起伏に富んでおり車の通行が少ないためそのままコースに活用できる。同大の選手とともに練習に参加する日本体育大学2年の井上宗治さんは「普段の練習では平坦なコースばかり。ここのような起伏のあるコースを歩くと足のいろいろな筋肉を鍛えられる」と期待する。
会場を紹介した酒井さんも予想以上の適性に「できるなら人に教えたくない場所」と語る。夏季強化合宿には▽トレーニング環境▽休養がとれる▽食べ物―の3要素が必要。売木村は気温・湿度が低く起伏に富んでおり練習環境が良いほか、夜間は少し寒さを感じるぐらい冷え、エアコンなしでも熟睡できる。また、長距離選手にとって必要な炭水化物は村の誇る「うるぎ米」を味わえる。酒井さんはさらに練習環境を改善するため、村にアドバイスも行っていく。
誘致を構想した同村議員の清水秀樹さんは「合宿での宿泊受け入れは心配ない。まずは来てもらえる人を増やしていきたい」と話していた。