売木村の文化交流センターぶなの木で28日、新春かるた会が開かれた。村内の高齢者ら10人余が参加し、百人一首に熱中。「あれだ」「それじゃない」と声を掛け合いながらにぎやかに楽しみ、親睦を深めた。
村地域おこし協力隊の広田華さんが「村の高齢者が楽しむ場所、老若男女が集う場所、文化を継承する場所を作りたい」と企画したサロン事業の第1弾。かつて百人一首が盛んに行われていたという、岩倉地区の高齢者らを中心に声を掛けて開いた。
この日は一般的な百人一首の他、下の句の取札が木製で、独特な書体の変体仮名が漢字交じりで書かれているものにも挑戦した。
記憶力や探す力に加え、仮名を読む力、見慣れない仮名書きから下の句全体を連想する力なども求められ、参加者たちは頭をフル稼働。一人が札を見つけると、皆で札をのぞき込んで「本当だ」「そういう字で書いてあるのか」と声を上げ、笑顔で顔を見合わせていた。
「20代の頃には集会所に集まり盛んにやっていた」と振り返る男性(92)。「当時に比べればだいぶ忘れてしまった」といいながらも記憶は健在の様子で、上の句が読み上げられた瞬間に札を取る姿もたびたび見られた。
「地区の人たちと集まって勝負するのは久しぶりだったが、やはり楽しいもの。ぜひまたやりたい」と喜んだ。
百人一首を楽しんだ後には、皆で昼食。熱戦を振り返り、話に花を咲かせた。広田さんは「皆さんがいきいきとした表情で楽しむ姿を見ることができうれしい。今後も定期的にイベントを開き、徐々に交流の輪を広げていきたい」と力を込めた。
◎写真説明:木製札の百人一首にも挑戦