売木村の米作り体験「うまい!うるぎ米そだて隊」(売木村イベント実行委員会主催)の脱穀作業が31日、村内の田んぼで開かれた。
年間7回にわたる最後の体験には遠方から親子35人が参加。最終日のこの日は7回すべて参加した皆勤者23人にそれぞれ米1俵(60キロ)を進呈。足しげく売木に通った参加者の中には「この村に住みたい」「これからも米をつくりに来たい」と考える人もいた。
皆勤賞の米60キロに釣られて定員以上の申し込みが殺到して始まった米作り体験。4月のもみまきから田植え、草取り、かかし作り、稲刈りといった稲作の体験を続けてきた。
この日の脱穀体験では、稲はざから稲を下ろして脱穀機にかけるという作業に黙々と取り組んだ。昼食では恒例の釜で炊いた売木米とキノコ汁を何度もお代わりして味わい、終了式では収穫した米が進呈された。参加者の8割が皆勤になり、なかには一家4人皆勤で計240キロを持ち帰る人も。主催者から60キロの米袋を受け取った参加者は、ずしりとした重みに米作りの達成感を感じていた。
イベントに参加するまで売木村を知らなかったという人も毎回欠かさず参加するうちに、村の自然や人柄にほれ込み、どうしても住んでみたいと思う人も出てきた。
上田市に住む宮沢幸宏さん(43)は「自然がきれいで土地も良い。都会の影響がなくのどかな村だ」と村の印象を語る。家族には反対されているため実際にIターンするかは検討中だが、村の魅力に住んでみたいと思うようになった。
愛知県刈谷市から夫婦で参加してきた清水潤子さん(38)は、初めはコンビニもなく店もなく不便だという印象だったが、何度か足を運ぶうちに「田舎のお家に帰ってきたという気分。こういう暮らしもありかなと思う」とすっかり村に馴染んだ様子。
「初めは遠かった売木も通ううちに近くなったんだと思う」と清水秀樹イベント実行委員長。「村を気に入ってこれからも足を運んでくれる人、住んでみたいと考える人が出てくれた。米1俵の進呈は赤字覚悟だが、これからのことを考えればそんなに大盤振る舞いでもない」と話していた。