阿南町西条の阿南少年自然の家(吉村洋一所長)は9、10の2日間、毎年人気の「化石採集と陶芸体験」を開いた。中南信地域から親子連れなど計55人が参加して、太古に思いをはせながら化石発掘を楽しんだ。
1700万年前は海の底で、ホオジロザメの歯や絶滅動物「デスモスチルス」の歯の化石などが発見されている同町の特徴を生かし、化石館や陶芸体験館を活用した恒例の事業。毎年定員の3倍ほどの申し込みがあるため、今年から5月と9月の年2回に回数を増やした。
はじめに化石館を見学した参加者は、下伊那教育会の教科研究で全体講師を務める湯澤正農夫さん(67)から化石採集の説明を受け、顔防護板を付けたヘルメットをかぶって現地へ。沢が流れる発掘場に到着すると待ちわびた化石探しに挑戦した。
石を割って化石が見つかると、タガネとハンマーを使って慎重に掘り起こし、湯澤さんに鑑定を依頼した子どもたち。6回目の申し込みでようやく抽選され、参加がかなった飯田市上郷黒田の北原明浩さん(13)はカキの化石を発見し「普段とは違うことができて面白い」と語った。
吉村所長は「阿南町でしかできない直接体験を通じて豊かな人間性を育み、親子でのコミュニケーションも楽しんでもらえれば」と話した。