フィールドスタディーで飯田下伊那を訪れている同志社大学政策学部・多田実ゼミの学生28人が24日夕、1泊2日で滞在した阿智村清内路で、地域の夏野菜で作った家庭料理を囲んで住民有志と交流した。会場となった清内路公民館には、学生村が盛んだった時代の雰囲気が再現された。
学生たちに料理を提供したのは、女性4人でこのほど発足させた「清内路の家庭料理を味わう会」(仮称)。昔から地域や家庭で受け継がれてきたものの、最近は調理されなくなった料理を守り続ける活動を展開していく計画だという。
この日は伝統野菜「黄いも」のねぎみそ和え、あかね大根の漬け物、なすの揚げびたし、ゆうご(ユウガオ)と鳥ひき肉煮など十数種類の家庭料理と飲み物を用意。料理名と野菜生産者の名前を書いた紙、伝統野菜の説明書を添え、バイキング形式で提供した。
4月から同大大学院博士課程の学生となり、フィールドスタディーの地元案内役を務めている安藤隆一さん(しんきん南信州地域研究所)は、会場に集まった学生たちに「なぜここに残っていたかが皆さんのテーマ。説明しないから考えて」と呼び掛けた。
「京野菜に負けないくらい味が濃いと思います」と紹介された伝統野菜の料理を味わった学生たちは「野菜が口の中でとろける。僕の地元にはない味」「野菜そのものの味がしっかりする」「その土地の味覚にこれだけたくさん触れられる機会はなかなかない」と話すなど、地域や家庭の味に興味を覚えた様子。
樽仕込みのあかね大根焼酎「大人になったあかねちゃん」は、大根を原料にしていることで注目を集め、飲んだ学生と多田教授は「洋酒でいえばウォッカ。後味がいい」「くせになる味」と話していた。
「味わう会」の原真弓さんは「当たり前のように食べている野菜を、県外の人が『おいしい』と言ってくれるのはうれしいし、励みになる。素材提供者にも聞かせたかった」、小池かおりさんは「カボチャがあるとグラタンやシチューに使うことが多いけれど、シンプルでそのものの味がする塩煮などをおいしく作れるよう、引き続き取り組んでいきたい」と話していた。
学生たちは同日夜、8軒の農家民宿に宿泊し、山村の暮らしを体験した。