県が飯田市南信濃で工事を進めていた国道152号線の小道木バイパスが17日午後、供用開始された。三遠南信自動車道の現道活用区間で、小道木―押出間の全長1・7キロを幅員6・5メートルの2車線道路で結んだ。バイパスの開通で、遠山郷(同市上、南信濃地区)が悲願としてきた1972(昭和47)年からの一連の道路改良事業が完了し、上村程野から南信濃和田までの時間距離は半減して15分となった。
供用開始前の午前に実行委員会が開通式を開き、関係者ら120人が出席して神事やテープカット、渡り初めをして祝った。
事業者あいさつでは太田寛副知事が「三遠南信地域の発展と、豊かな自然、歴史、人情があふれる遠山郷に全国からさらに多くの方が訪れることにつながると確信している」とする阿部守一知事の言葉を伝えた。
宮下一郎衆院議員や吉田博美参院議員、牧野光朗飯田市長らが祝辞を述べ、遠山郷の医療と福祉を支える生命線として、また、観光や産業の振興に向けた動脈として利活用され、地域の飛躍につなげてと願った。
幅員が4メートルと狭い区間を、全長1196メートルの押出トンネルと96メートルの権現山トンネル、118・5メートルの小道木大橋、193メートルの熊野大橋で結んだ。
総工費は約65億円で、県が2008年度に事業着手。4月に旧国道で崩落が発生した際は、片側車線規制で事前供用していた。
県による遠山郷の国道152号線のバイパス整備は、地元の悲願として72年にスタート。同市上村の矢筈トンネルから南信濃和田地区まで順次改良を進めた。三遠南信道の現道活用区間に位置付けられた後は整備が加速し、43年の時を経て完了した。
小道木バイパスによる時間短縮効果は約8分。かつて30分を要していた矢筈―和田間の時間距離は、一連の改良工事で半分の15分に短縮された。
三遠南信道の現道活用区間は全長21・1キロ。残る未改良区間は、接続する青崩峠道路の進捗に応じて工事をする小嵐バイパス(約2・4キロ)と、来年の開通を目指して工事着手している和田バイパスの一部(約2・0キロ)のみとなった。