飯田市農業委員会(中山將英会長)や県下伊那農業改良普及センター(馬場宏武所長)などは7日、市内の農家を対象に経営の健全化などに役立ててもらう「家族経営協定」の調印式を同市鼎東鼎のJAみなみ信州営農部で開いた。本年度は市内の農家8組18人が締結。家族が互いに協力し、潤いや魅力ある農業経営に取り組むことを誓った。
市の家族経営協定は1997年に始まり、今回を含め計143組が締結。以前は9月9日の「重陽の節句」に合わせて調印式を開いていたが、農繁期にあたるため、2009年度から2月の時期に変更している。
意欲を持って農業に取り組むための協定で、家族みんなで農業経営に参画する姿勢を促す狙いもある。それぞれの協定書には、主に労働時間や休日、給与などの労働条件の他、経営管理や家事などの役割分担、働きやすい環境づくりに向けた決め事を自由に盛り込んだ。
調印式には、酪農や果樹・野菜栽培などに取り組む農家7組が出席。中山会長と馬場所長らの立ち会いの下、家族間の話し合いでまとめた協定書に署名、押印した。
同市千代の果樹農家の男性(54)は、昨年4月に息子(27)が経営の担い手に加わったことから、2000年に夫婦で結んだ内容を見直した。
男性は「家族だからこそ、もめごとなどが起きては困る。特に労働条件や賃金はきちんとしておきたい」と指摘し「きちんと働けば働いた分だけ、見返りもあるという前向きな気持ちを大切に、家族みんなで頑張りたい」と意気込みを新たにしていた。
各家族が協定に盛った内容は「余暇を大切に健康に留意する」「互いの趣味を認め合い、活動を理解する」「賃金は夫婦で同額ずつ」など多彩。主催者側は「調印という儀式で気持ちも一段と引き締まったのでは」と話し、実践を期待していた。