松川町元大島の馬坂(まさか)にある「竹越遺跡」の発掘調査で、巨石を配した謎の遺構が見つかった。礎石としては配置が不規則で規模が大きすぎ、全国の一般遺跡にも類例がないという。今後埋める予定で、9日の一般公開が直接見られる最後の機会になる。
宮ケ瀬橋架け替えの道路改良に伴い、馬坂自治会所の移転先用地から発掘された。約1000年前の平安時代の構造物で、1・5メートル×1メートルほどの花こう岩18個がほぼ平らに並んでいる。
石は1個600~800キログラムほど。建物を支える礎石なら、国家が関わる寺院などの大きさという。通常の礎石は等間隔で規則正しいが、並びがいびつで礎石としての例がないとされる。
調査した町文化財アドバイザーの酒井幸則さん(69)は「巨石を人為的に集めて配列したのは間違いないが、何の目的かは分からない」と話す。
石の下には、礎石にみられる砂利など下部遺構が存在しなかった。
竹越遺跡の発掘調査で見つかった平安時代の住居跡4棟から150メートルほど離れている。
遺構に対面して同時代の鍛冶場跡が発見されており「鍛治場に関連した遺構ではないか」と酒井さんは推測した。
馬坂周辺は古墳時代以降、馬を飼育する「牧」が存在し、2基の古墳があった。馬坂は国家が関与した勅旨牧(御牧(みまき)ともいう)ではないが、酒井さんは「御牧をまねた独自の建築物(の礎石)だったとしたら面白い」とロマンを膨らませた。
遺構は現状を保ったまま埋め戻され、馬坂自治会所の駐車場にする。詳細を記録しており、解明は後世に託す。
9日の一般公開は午後1時半から。小雨決行。問い合わせは、町教育委員会(電話0265・34・0733)へ。
◎写真説明:竹越遺跡の謎の巨石遺構