豊丘村の介護老人保健施設「はやしの杜」で9日、アンネ・フランクゆかりで、平和の象徴ともされる「アンネのバラ」の植樹式があった。利用者や職員ら約160人が参列、核兵器廃絶と世界の恒久平和を願った。
長崎の「原爆の日」に合わせて行い、原爆投下時刻の午前11時2分には全員で黙とうを捧げた。
アンネのバラは、強制収容所から生還したベルギーのバラ育苗家が作った。育苗家は1959年、アンネの父オットー・フランクにバラを寄贈。60年に「アンネ・フランクの形見」の名称で発表された。つぼみ期は赤く、黄色へと変色した後ピンクに染まるという。
今回は須坂市の自宅でアンネのバラを育てている薄井キヌエさん(72)から2株譲り受け、同施設の北沢幸保事務長(61)と杜の会役員の木村君子さん(69)の計5株を加えた。
植樹式ではフィリップ・ドゥ・ヘーア駐日オランダ大使と、長崎市の田上富久市長のメッセージ披露に続き、7株を吉川達郎村長、大坪勇理事長、金子勇施設長らが施設の中庭にある花壇に植えた。
吉川村長は「戦後65年が経過したが、平和を思う気持ちは変わらない。平和のシンボルとして、また平和の核としてしっかり根付くことに期待したい」と話した。
同施設は、平和を訴えるシンボルとしてアンネのバラを増やしていく。ことし5月には、広島への原爆投下で被爆したアオギリの種子から育てた「広島被爆アオギリ二世」の苗木を植え、平和と生命の象徴とし大切に育てている。