武田信玄が情報伝達の手段として狼煙(のろし)の広範なルートを構築したとされる南信の関係地域でつくる「武田信玄狼煙会」は8月31日、恒例の狼煙リレーを行った。根羽村―辰野町間で狼煙を伝達し、戦国の時代に思いを馳せた。
「世代を超えて地域の大切な歴史文化を学び、地域と地域・人と人とをつなぐ連携」を目指して再現を続け、今年で12回目。北上方式で午前10時の根羽村を皮切りに、平谷村、阿智村、泰阜村、下條村、飯田市(山本、三穂、上久堅、龍江、上郷、東野)、喬木村、豊丘村、高森町、松川町、中川村、伊那市(富県、西春近、東春近)、箕輪町、辰野町の14市町村、計26カ所でつないだ。
飯田市上久堅では第1回から神之峰で点火している。この日は午前10時9分ごろに山本地区城山方面から上がる煙を確認し、「煙が上がったぞ」との声。よろいを着た上久堅小6年の高田知晶くん(11)と桑原百花さん(12)の2人がやぐらに点火した。
竹と杉でこしらえた高さ2メートルほどのやぐらが勢い良く燃えて煙を立ち上らせると、集まった約30人の地域住民らから歓声が上がった。
よろいの重さと暑さの中で点火の合図を待っていた高田君と桑原さんは、無事に立ち上る煙を笑顔で見上げた。
上久堅公民館の長沼成館長は「2021年は武田信玄の生誕500年を迎える。そこまできちんと、甲府までつながるようにできれば」と期待を込めた。
武田信玄は根羽村の杣路(そまじ)峠から甲府までの間に狼煙台を数多く配置し、山河の情報を伝達していたとされ、狼煙台のあった飯伊二十数カ所は強く結びついていたという。
◎写真説明:子どもたちがよろい姿で点火