泰阜村は18日、戦没者並びに開拓犠牲者追悼式を村平和殿で開催した。引き続き、村福祉センターで9月に行った方正県・大八浪開拓跡地訪中事業の報告会が行われ、中国を訪問した中学生らが開拓跡地訪問の様子を語った。
泰阜村では戦時中、国策に従い1200人近い人々が中国三江省の大八浪(たーぱらん)へ泰阜分村開拓に赴いた。日本の敗戦により、苛酷な逃亡や収容所での生活を体験することになり、寒さや想像を絶する飢え、原因不明の疫病で638人が犠牲となった。また、軍属として戦争に参加した222人が帰らぬ人となった。
追悼式では、村関係者や遺族などのほか、泰阜中学校全生徒も参加。慰霊の言葉や献花などに続き、中学校の校歌を歌い、犠牲者の霊を弔った。
引き続き行われた報告会では、9月8日から12日まで行われた訪中事業の様子を報告。同事業は村の帰国支援事業が終了し、今後も歴史を風化させることなく後世に伝えようと、一般や中学生から参加者を募り開拓跡地を見ようと実施。友好関係にある方正県との交流事業を兼ねて訪問した。
訪中事業に参加した中学生3人は、方正県第3中学校との交流の様子や日本人公墓の参拝のこと、大八浪開拓跡地で昔の家や当時を知る人と会ったこと、731部隊の記念館を見学した様子などを紹介。一緒に参加した帰国者から、当時の話を聞き満蒙開拓や戦争について思いを語った。
引き続いて一般参加者を代表し、陶芸家の大越慶さんが写真を使って現地の様子を紹介。日本人公墓近くの収容所では8640人のうち4500人が亡くなり、冬はマイナス30度になるため死体は春になってから燃やされたことなどを報告。大八浪開拓団跡地では開拓団に縁のあった現地の人々と出会った様子を細かく語った。
さらに、方正県第3中学校の生徒も参加し泰阜村で開催したキッズAUを紹介。中国、ロシア、北朝鮮、韓国、日本の6カ国の子どもたちが一緒に生活し最後には涙ながらに別れたことを語り、歴史を理解した上で友好関係を築いていく子どもたちに期待した。