阿智村清内路にある国指定の天然記念物で、地元では「おおまき」と呼ばれるミズナラの巨木「小黒川(こぐろがわ)のミズナラ」の枝1本が枯れていることが分かり、29日に除去作業が行われた。村教育委員会は来年度、樹勢の回復を試みるという。
枯れた枝は2004年の台風で折れた枝の近くから生えていたもので、村教委は複数の住民から「枝の様子がおかしい」といった指摘を受けて樹木医らを交えて検討した結果、影響を最小限に留めるためにも早い段階で除去する方針を固め、国の許可を得た。
除去作業の結果、枝の中程は腐朽が進んでいたものの、付け根部分には異常が見られないため幹への影響はないと判断され、切断箇所に防菌剤や人口樹粉を塗って作業を終えた。下伊那南西部で被害が確認されているカシノナガキクイムシによる「ナラ枯れ」との関連性はないという。
周辺の環境整備にあたる住民グループ「おおまきの会」(櫻井正彦会長)からは「小黒川に面した側は、根元付近の樹皮がはがれやすくなっている」という報告もあり、村教委は引き続き住民や専門家の意見を聞きながら、ナラ枯れ対策も含めた策を講じる。
除去作業にあたった樹木医で文吾林造園社長の原孝昭さんは「すごく弱ってしまったというわけではなく、地域の協力を得ながら土壌改良などの努力をすれば、元気になると思う」と話していた。
おおまきは樹齢300年以上、樹高約20メートル、幹周7メートル余。ミズナラとしては国内屈指の巨木とされ、枝張りの美しさにも定評がある。根元には「山の神」と「蚕玉様」のほこらがまつられ、住民の心のよりどころにもなっている。