月の光で夜間に虹ができる珍しい気象現象「月虹(げっこう)」が16日夜、豊丘村などで観測された。
写真は同村地域おこし協力隊の前田隆幸さん(46)が16日午後9時ごろに撮影。同村河野から高森町山吹方面にレンズを向けたもので、「肉眼では白く見えたが、カメラで撮影したところ、七色に写っていた」という。
別の協力隊員から連絡があり、夜空を見上げた。
上空はよく晴れていて、翌日に満月を控えて明るくなった月が一体を照らしたが、虹がかかった高森方面は厚い雲に覆われ、「雨が降っているようだった」という。
前田さんが観察した午後9時半過ぎまで出ていたとみられる。
河野在住で本紙写真部の筒井寛さん(77)も月虹に気付き、レンズを向けた。霧によって散乱した光が虹のような輪になって現れる「霧虹」を撮影した経験があるが、「月虹は初めて」と話した。
気象現象に詳しい飯田市時又の気象予報士、今村理則さん(83)によると、月虹が発生する仕組みは日中の虹と同じだが、「明るい月が出ているのが条件」という。
白く見えるのは太陽に比べて月の光が弱いためで、色彩が淡くなり、「白虹」とも呼ばれている。
前田さんは「長く出ていたが、白色だったため、気付いた人は少なかったかもしれない」と話していた。
◎写真説明:豊丘で観測された月虹(前田さん撮影)