古里を離れ、首都圏で暮らす喬木村出身者が集う「関東地区喬木村ふるさと会」は23日、本年度総会と交流会を東京都千代田区のアルカディア市ケ谷で開いた。高齢化と若者不足で参加者が固定化する中、村側の後押しもあって入会したばかりの20~40代が出席。例年以上に盛り上がり、昔話に花を咲かせた。
村はふるさと回帰推進事業の一環で、都市部で暮らす若者らを対象にした交流会「喬木ふるさとnet.オフ会」を昨年度から東京や名古屋で実施。ふるさと会メンバーとの接点となり、この日のふるさと会には交流会に出席している6人が初めて参加した。
ふるさと会は関東と東海の2地区あり、このうち関東は2000(平成12)年に発足した。会員数は1000人を超える。
総会は2年に一度開き9回目。会員122人のほか村から市瀬直史村長や村議、区長らが駆け付けた。
同郷とあって、顔を合わせれば話も弾む。10人前後でテーブルを囲み、若者が入ったテーブルでは「家はどこ」「親の名前は」と積極的に聞くなどして距離を縮めていた。
阿島出身で会社員の後藤佑人さん(25)=杉並区=は「喬木のことを気楽に話せる雰囲気がいい」と笑顔で語り、賜昭宏さん(43)=港区=は「祭囃子を聞き、また出席者全員で村歌を歌い、感慨深いものがありました」と話した。
会長の田中節山さん(77)=東京都武蔵野市=は親睦を深める姿に「本当にうれしい」と目を細めた。若い人たちが気軽に足を運べるよう、アイデアの掘り起こしを進めていく考えだ。
会場入り口には村の特産品が並び、「懐かしい、思い出の味」を心待ちにしていた人は早速買い求めた。また阿島の「竹や五平餅店」が焼き立ての五平餅を提供し、参加者はうれしそうにほお張っていた。
交流会で伊久間囃子屋台保存会(木下正一会長)が6曲を披露すると、熱演に大きな拍手。村歌や県歌「信濃の国」、竜峡小唄を歌い、村への思いを新たにした。
11年後にはリニア中央新幹線が村内を通過し、三遠南信道の開通も控える。村側が進捗状況を説明すると「喬木が近くなる」「待ち遠しい」と期待の声。村へのエールが相次ぎ、市瀬村長は「郷里に対する熱い思いをひしひしと感じた。応援に応えられるよう村づくりを進めていく」と話した。