阿南深見の池でプランクトンの生態調査 東大や東北大などの研究チーム

地域の話題

[ 2016年 10月 7日 金曜日 15時44分 ]

001東大深見調査

 東大や東北大などの共同研究チームは6、7の両日、阿南町の深見の池で湖底堆積物の「年縞(ねんこう)」を取り出し、ミジンコなどプランクトンの生態を調査した。東大総合文化研究科吉田丈人准教授(44)は「100年以上前の状態が残る国内でもごくわずかな池。ここでの調査が広くは日本の生物の繁栄のモデルになる」と成果に期待を寄せる。堆積物は大学に持ち帰り半年から1年掛けて分析する。

 

 同湖は周囲から流れ込む大きな川がなく、急斜面に囲まれ風の影響を受けにくい。それが上下の水を混合し難く、昔からの堆積物がそのまま残る希少な池だ。歴史も古く、阿南町誌によると1662(寛文2)年に発生した地震でできたと言われ面積約2・2ヘクタール、深さは約8メートルある。硫化水素や硫黄が存在する火山地域など、限られた場所にのみ生息する光合成硫黄細菌が繁殖するとして1980年に国際会議で発表された。

 

 吉田准教授は以前からこの池の特殊な特徴に着目し、主に北米から入ってきたと見られる2種類のミジンコの生息状況や歴史的背景を研究してきた。今回は東大や東北大のほか滋賀県立大学、静岡市の「ふじのくに地球環境史ミュージアム」、福井県の里山里海湖研究所と共同チームを編成して初めてとなる大規模調査を実施した。

 

 ボートを使って池の中央部まで進み、長さ4メートル直径6・5センチのパイプを湖面から8メートル下の湖底に突き刺し、空気圧で一気に浮き上がらせて年縞をかく乱せずそのままの状態で取り出した。年縞は湖底に積もった土の層が作る縞(しま)模様で、毎年湖底に春から夏に掛けてプランクトンの死骸が積もり、秋から冬には粘土鉱物が堆積した層ができて1年を表す。

 

 調査は2日間で計5本のパイプから年縞を取り出した。その結果、1891年に岐阜県を震源としマグニチュード8・0と推定される濃尾地震で土砂崩落したとみられる縞も確認できるなど、350年余に上る池の歴史を年縞から垣間見ることができた。

 

 調査ではプランクトン、主に北米のミジンコが同池に生息するようになった年代や他の生物の移り変わり、現在横行しているブルーギルなど外来魚が入ってきた年代を突き止める。1999年に年輪地層を発見し、今回の共同チームに参加した同ミュージアムの山田和芳准教授(41)は「かつて存在していた生物を復元してくれる貴重な池。将来その環境を復活させることができれば」と話す。

 

 「北米のミジンコがいつ、どのように池に入り、2種類がどうして共存できたのか。とても研究しがいがある」と吉田准教授。調査を見守った同池の環境保護活動を行う「深見の池の自然を愛する会」事務局村松敏弘さん(74)は「注目してくれることはありがたい。地元住民にも貴重な池だということを知ってもらいたい」と述べた。

  

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