古木が植わる喬木村阿島のフジ園「阿島の大藤」を維持管理する保存会は現状のままでは園の存続が難しいとして、休園することを23日までに決めた。保存会は4軒のみで構成し、管理が行き届かない状況にある。ただ商工会やNPO法人たかぎ、地元区、村などと再建に向けた話し合いを進めており、来年の再開を目指す。
保存会の中森高茂さん(60)は「毎年楽しみに訪れる人もいる。期待に応えられず申し訳ない気持ちだが、持続的に管理できる体制を整えて再開を目指したい」と話した。
ここ数日の高温もあってフジは色付き始めている。今年は休園とするが、園内は一般に開放する。
フジは安養寺境内に植わる。10アールほどの敷地内には5種類20本あり、樹齢は古いもので400年近い。「阿島の大藤」として知られ、花の見頃となる4月下旬から5月中旬にかけて毎年多くの観光客を集める。
フジの名所として広く知られるようになった一方、地域のボランティアや4軒のみの保存会で維持しているとあって、管理が行き届かなくなっている。
昨年はシーズン中に県内外から約3000人が訪れた。入園料として中学生以上から100円取っているが、開園準備費や地代などを含めると維持費が入園料でまかなえないのが現状だ。
保存会によると、阿島の大藤は1933(昭和8)年、地元の商店主が飯田市内の旧家から譲り受けたフジを移植したのが始まり。戦時中は手入れができずフジ棚が崩れるほど荒れた時期もあった。戦後の食糧難で「木を切って敷地で米をつくる」といった話も持ち上がったが、住民の熱意で回避してきた。老朽化に伴い茶屋を新築した88年頃から4軒で守っている。
◎写真説明:休園する阿島のフジ園