東京のNPO法人「コモンビート」に在籍する都会の若者が、阿智村の住民と交流しながら、村で感じたことなどを題材にした舞台作品を作る。7、8日に6人の若者が村を下見に訪れ、住民有志の案内で各地区の魅力に触れた。作品は11月7日の「阿智祭」で発表し、住民も出演する計画だ。
コモンビートは休日のミュージカル練習を通じて自己啓発を行う団体で、関東在住の社会人約800人が在籍する。おととしから清内路地区との交流を始め、昨年7月には民族間対立の行方を描いたミュージカル「ナカトピア」を村で一般公開。熱のこもった演技と歌で感動を呼んだ。
昨年のミュージカルはNPO側で作ったものだったが、「さらに踏み込んで作品づくりから一緒にやろう」と今秋の舞台を計画。「人と人の交じり合い」をテーマに掲げた実行委員会「もざいくプロジェクト」を双方の有志で立ち上げた。
東京側は40人を目標に出演者を集め、阿智側もチラシを全戸配布して出演者、協力者を募っている。東京のメンバーは9月4、5日を皮切りに、1泊2日の村訪問を10月までに3回行う予定だ。
今回の下見には松川町生まれの同NPO理事、北原太志郎さん(29)ら東京の20代6人が参加。住民有志とともに駒場や伍和、園原を訪れ、月遅れの七夕祭りや神社仏閣などを見学した。若者たちは、人と文化が行き来した古代東山道にまつわる話に特に感銘を受けたという。
北原さんは「自分たちだけで訪れるのでなく、地元の人がいて歴史などを語ってくれることに意義があり、住んでいる人がいてこそ地域は生きると感じた」と、交流の意義を再確認した様子。
「見たもの感じたものが直接登場するかは分からないが、これだけ感じるものがあれば東京の仲間たちも伝えたい気になるはず。深いところでの交流が成功のかぎになる」と期待を語った。
実行委・村窓口の原和信さん(53)は「思いが形になりそうで、とてもうれしい。多くの人に参加してもらいながら互いの文化を掛け合わせ、新しいモザイク模様をつくりたい」と話している。