飯田合庁食堂「信州を味わう日」 月1企画ひとまず終了

地域の話題

[ 2012年 4月 20日 金曜日 9時54分 ]

 南信州の食材や文化、行事などを題材にして、月替わりの特別メニューを4年間にわたって提供してきた飯田市追手町の県飯田合同庁舎食堂「葵」の「信州を味わう日」企画が、3月をもって終了した。2008年度からの提供数は約50種類に上り、毎月の内容を心待ちにしていた住民も少なくない。店主の中塚敏行さん(62)は「多くの皆さんの協力で誕生したメニューの一つ一つに思い入れがあり、貴重な財産。ひとまずは区切りとなるが、今後も郷土の食の魅力を伝える一助を担えれば」と次なるステップを見据えている。

 特別メニューは原則、毎月第3週の水・木・金曜日の3日間に限定数を提供。庁内の県職員だけでなく一般市民も利用できるという合庁食堂の特色も生かし、数々の郷土料理や創作料理を通じて、地元の食材や食文化の魅力をPRしてきた。

 「楽しみや喜び、驚きなど、おいしさ+αをできるだけ取り込んだ」と中塚さん。日々の生活の中で常に「次のネタ」探しを意識したといい「回を重ねるごとにプレッシャーもあったよ」と振り返る。

 提供したメニューは08年4月の「春の恵みカレー」から、12年3月の「大鹿村本膳」まで延べ51。リクエスト企画などを挟み、東日本大震災の発生直後の昨年3月を除いて毎月行ってきた。

 「歌舞伎弁当」や「霜月祭の重」「峠の綱寿司」などは伝統行事を、「飯田城下で鍋合戦」や「伊那谷おせち膳」、「南信州黄金ちらし」などは風物詩を絡めて発想。口蹄疫の風評被害を打破する「がんばれ豚ちゃん定食」や節電にちなんだ「夏のエコ定食」などの時事ネタも取り入れた。

 中塚さんにとって特に印象深いのが、10年9月の「赤門祝い本膳」。25年ぶりの大改修を行った飯田合庁の敷地内にある旧飯田城の遺構「赤門」の竣工を祝い、伝統的な縁起物の食材13品を使った一汁五菜の本膳料理をあつらえた。

 郷土の文献をひもときながら、江戸時代に飯田で「ハレの日」(祝いの日)に食されたという本膳料理を再現し、化学調味料を一切使わない自然な味付けにもこだわった。文献には、当時の物流や保存技術を踏まえ、塩漬けによる「刺身」の記述もあり、実際に試した中塚さん自身も「新たな味わい」や「先人の知恵」に触れたという。

 特別メニューの提供にあたっては、県下伊那地方事務所をはじめとする行政関係者や食材の生産・加工者、JAなど、幅広い個人や団体が横断的に連携や助言を重ねただけに「多くの人たちの協力の賜物。合庁食堂ならではの取り組みができたのでは」と目じりを下げる。

 11年6月の栄村復興支援企画「北信州・民宿料理」も多くの協力で実現につながった。ネマガリタケなど北信州の旬の山菜を現地から直送してもらい、北信の郷土料理を県南で味わえる機会を提供。売上金の一部は義援金として現地に届けた。

 中塚さんは4年間を総括する中で「単品そのままでは魅力に乏しくても、束ねたり、加えたりの工夫しだいでおもしろくできる。南信州の食材や食文化の奥行きの深さを再認識した」と指摘。「月1企画はひとまず終了。充電期間も大切」と笑いつつ「14市町村ごとのメニュー企画はどうだろう。単発型ではなく、様々な発展、波及効果も視野に入れた中長期的な企画展開も試したい」と構想を温めている。

  

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