高森町商工会のエコ・プロジェクトチームは17日、木質廃材のチップを燃料とする「バイオマスストーブ」の試作機を披露した。県の補助金を使い、構想から9カ月で完成。今後、温泉施設のボイラーや農業用ハウスの暖房などに活用できるとし、改良を加えて実用化を目指す。
市販と比べ、小型化にこだわった。同チームによると、国産の小型バイオマス燃焼装置は珍しい。
試作機は高さ1・5メートル、横幅2メートル。木材チップをモーターで燃料容器から炉に送り込んで燃やし、直径50センチ、高さ70センチの炉の周囲を回転させるように空気を押し上げて温風を放出する仕組み。チップの燃焼を促す工夫を施したことで灰の量が少なくなり「燃料率は高い」と関係者。燃料容器には25キロの木材チップが入り約20時間の連続燃焼が可能で、ダクトからは70度以上の温風が出ているという。
この日、同町山吹の工業団地内で試作機を商工会関係者約20人に披露。関係者は仕組みの説明に耳を傾け、ダクトから出る温風には「温度は十分」などと性能を確かめていた。
チームリーダーの今村彰吾さん(54)は「廃材を燃料に変えられることを実証できた」。温度を制御できないなどの課題はあるものの「暖房やボイラーとしても活用できるはず」と自信の表情。ビジネスモデル化に向けた研究を進める考えを示したほか、広くPRして町などの理解を得たいとした。
また廃材や果樹のせん定枝の集積センターを造ることで、地域のエコサイクルのモデルになるとし「環境意識を変えるきっかけにもなれば」と期待した。
町内で出た廃材や木材などを破砕機で砕いた1センチ以下のチップが燃料。今村さんは「夢は家庭で出た可燃ごみを燃料にしたい」と話した。
同チームは、二酸化炭素削減の仕組みを地域内に構築しようと2009年に発足。昨年5月にバイオマスストーブの構想を描き、同商工会工業部会と協力し7月から製作を進めてきた。製作費は100万円。県の元気づくり支援金73万円を活用した。
また、バイオマスストーブの名称を2月15日まで募り、採用者には記念品を贈る。