高森町教育委員会はこのほど、発掘調査を行っている同町山吹の「原城(はらんじょう)跡」で現地見学会を開き、城主郭の西側の堀から「土橋」とみられる遺構が見つかったと説明した。
発掘調査は、県道の拡幅工事に伴い、県飯田建設事務所の委託を受けて町教委が実施。果樹園約1300平方メートルのうち、10月までの第1期(約250平方メートル)で中世の跡を調べている。
町教委によると、原城は山吹と大島地区の境を流れる大沢川右岸台地にあり、中世の土豪の竜口氏が築いたとされる。
土橋とみられる遺構は、主郭を取り巻く曲輪(くるわ)と主郭の間にある堀の一部から見つかった。高さ約2メートル。長さ約8メートル、幅約2・5メートル。
この日、説明した町教委の松島高根さん(45)は「確定的でない」としながらも、主郭に向かって突き出していることなどから、土橋の可能性があるとした。また、土橋が堀の途中で途切れている点に注目し「主郭までの残りの部分には木製の橋が架けられていたのでは」と推測。防御性が高く「敵からの攻撃に備えた」とみた。
さらに、堀の底部に通路のようなものも見つかっており、堀を連絡通路として利用していた可能性もある。
今回の発掘は、主郭入り口の位置や当時の城の様子を知る手がかりになりそう。松島さんは「部分的な調査という制約はあるものの土橋などが明らかになったのは大きな成果」とし、11月末から始まる第2期調査にも期待を寄せた。
現地見学会には高森町史学会のメンバーら40人が参加。かつての城の形状を想像しながら、松島さんの説明に耳を傾けていた。
第2期調査は11月末から来年3月上旬を予定。主郭を中心に調べる。町教委は、調査後には町民らを対象にした報告会を開くとしている。