新型コロナウイルス感染症の拡大に伴い4月25日から休園していた飯田市動物園(同市扇町)が2日、約1カ月ぶりに再開した。休園中は園内整備に取り組み、展示にも工夫を凝らした。初日から家族連れでにぎわい、元気に動き回る動物の様子を観察する子どもたちの声が響いた。
午前9時に開園すると、多くの家族連れが足を運んだ。ペンギンの展示場では、飼育員が餌を与え、ペンギンたちが餌を取り合う様子に「かわいい」の声が上がった。
娘(2)と訪れた母親(39)は「再開を待っていた。娘は動物が好きなので、今初めてムササビを見てきたがとても喜んでいた」と笑顔で話した。
園によると、休園直前の客足は普段の3割ほどに減り、遊具の売り上げも10分の1程度まで落ち込んでいた。
「再開後の来園者がより楽しく過ごせるように」と、休園中は園内整備に取り組んだ。のりものランド内には授乳室を設置し、市民からソファやベビーベットを募って配置した。
動物たちの展示にも工夫を凝らした。飼育員特製の紹介ボードを作成し、サル山には餌の販売ボックスを設置。客自身がサルに餌を与えられるようになった。
飼育員の大崎康平さん(29)は「たくさんの方が来園してくれればという期待と、感染しないかという不安がある。コロナは目に見えないが、飼育員一同予防に努めて営業していきたい」と話した。
来園者にはマスクの着用、こまめな手洗いと消毒を呼び掛ける。ふれあいコーナーも土日の午前11時からの30分間に時間を短縮。10分10組ずつの交代制にし、密を避ける。
休園中には「来園せずとも動物園を身近に感じてほしい」と、LINEスタンプを作成し、ユーチューブに動画を登録。今後も動物の様子などの動画を配信する予定だ。
◎写真説明:再開した動物園