環太平洋戦略的経済連携協定(TPP)の交渉参加をめぐって政府が方向性の検討に入ったことをめぐり、JAみなみ信州(矢澤輝海組合長)は21日、飯田市鼎の営農部大会議室で緊急集会を開いた。生産者ら約300人が出席し、参加の断固阻止を掲げる決議を採択。地域住民への周知に向けて一致団結を誓うとともに、出席した地元選出の国、県会議員に、積極的な働きかけを要請した。
「団結」の文字を記した鉢巻を結び、関係者らが断固阻止に向けた声明を重ねた。
矢澤組合長は「野田佳彦首相は大規模法人をつくると言っているが、中山間地に20―30ヘクタール規模の法人はできない。小さな農家が国を守っている。そのことを忘れてはならない。農業を大事にするなら、小規模農家を守る方向をきちんと示して対応してもらわねばならない。TPPに対して断固反対していく」と決意を表明。原発事故をめぐる風評被害が畜産農家を中心に南信州にも及んでいる実態を懸念し、議員らに「しっかり地域の声を上につなぎ、保障に関する働きかけをしてほしい」と求めた。
全農中央会の大西茂志常務理事、長野県農協中央会の浦野邦衛地域農政部次長らがTPP、原発事故をめぐる情勢を報告。TPPについては「農業のみならず多彩な業種にマイナスの影響が出る」と警鐘を鳴らし、「地方から反対の声を上げてほしい」と要求。「当面の山場は11月のAPEC。それまでに反対の意向を伝えることが重要だが、結果がどうなるにせよ、TPPをめぐる問題はその後も続く。継続して国民に課題を訴えていかなければならない」と述べた。
加藤学衆院議員、吉田博美参院議員ら7人の国、県議員が要請書を受け取り、反対の意思を表明した。
決議では「TPPは除外・例外品目を認めない完全な関税撤廃を目指すものであり、これまでわが国が締結してきたEPA(経済連携協定)とは全く異なる。交渉を推し進めることは農林水産業の崩壊を招き、自給率の向上が不可能となる」と指摘。「我々はTPP交渉参加に反対であり、絶対に認めることはできない」とし、「頑張ろう」の声をそろえて拳を突き上げ、決意を示した。