JAみなみ信州(矢澤輝海組合長)が整備を進めていた松川町大島の北部果実選果場が完成し、21日、現地で竣工式があった。北部地域にある4つの施設を一元集約し、南部のいいだ果実選果場(飯田市上郷)との2大拠点化を進めた。3系列6条の透過式LED光センサー選果機を導入し、効率化によるコスト低減と高付加価値化を目指す。
松川、高森町、豊丘村にあった4つの選果場を旧まつかわ西選果場に統合し、施設内の選果機を更新。国の食料自給率向上・産地再生緊急対策交付金を活用し、10億2900万円の総事業費で、外観、内質、糖度、大きさなどを判別できる透過式LED光センサー選果機3系列6条と、製品予冷倉庫1式を導入した。
竣工式には関係者ら約170人が出席し、テープカットや稼動セレモニーを行って完成を祝った。
矢澤組合長は「果樹の生産向上と農家支援、生産振興、果樹産地の活性化に寄与できるものと期待している」とあいさつ。施設を拠点に「生産者とともに大きく、成長、発展させたい」と決意を述べた。
深津徹松川町長は「三遠南信自動車道やリニア中央新幹線の開通を控え、北部の果樹産地への期待が高まっている」とし、「生産者や農協と一体となってさらなるブランド化と産地振興を図っていきたい」と話した。
28日にモモのあかつきから選果を始める予定。モモ、ナシ、リンゴを年間7500トン出荷する計画で、ピーク時には1日2万ケース(1ケース10キロ)を処理し、関東や中京、関西方面の市場に出荷する。
下伊那北部地域のモモ、ナシ、リンゴの生産額は60億円で、うち30億円がJA取り扱い分。現在は3500戸の果樹農家のおよそ7割がモモ、ナシ、リンゴの栽培に取り組んでいる。
選果場の統合は高付加価値化、コスト削減、選果労力の生産活動への転移を柱とする「販売力強化に向けた選果場整備構想」の一環で、南部の選果を一元管理しているいいだ果実選果場との2大拠点化が整った形。光センサー機による選果で糖度を保証する商標「太鼓判」ブランドを拡大させ、さらなる有利販売を目指す。