新型コロナウイルスの感染防止に対応しながら介護サービスの継続を図ろうと、高森町は20日、町内事業所に呼び掛けて初の連絡会を開いた。感染防止のための対策や利用制限などの現状を情報交換し、課題を共有した。
飯田医師会で在宅医療介護保険を担当する後藤医院院長の後藤暁さんや、円会センテナリアン施設長の瀬口里美さん、県飯田保健所の協力で町が企画。訪問看護・訪問介護、通所事業所、居宅介護支援事業所から15事業所が参加した。
後藤さんの進行で、各事業所の事前アンケートをもとに話し合った。感染予防のための利用制限では、県外からの家族の来訪で、2週間の利用を制限するケースもあった。
参加事業所からは「デイに行けなくなるからと家族が帰省を控えたり、介助のため家族が2週間滞在する例が多い」とする回答の他、「県外と設定しているが、状況に応じて変える必要がある」「首都圏から家族の急な来訪もあった。都市部には意識が低い人もいる」「感染が広がった時にどうサービスを継続すればいいのか。他地域の事例を知りたい」などの声が寄せられた。
利用者が濃厚接触者になった場合のサービス継続も課題に挙げられた。訪問介護事業所では、接する職員を限定した対応を想定するが、人員や防護服など感染防止資材の数量などに不安があるという。
万が一、利用者が感染者になった場合の対応方法も確認。保健所で施設職員を一斉検査できるように、出勤状況などの行動記録をまとめておく必要があるとした。
事業所間の応援体制では、利用者のケースに応じた対応や信頼関係が必要なため、「簡単には他事業所に任せられない」との声も聞かれた。
防護資材については、購入費の一部を補助する町の制度を紹介。壬生照玄町長は「事業所ごとに購入してもらうのが一番だが、どうしても必要な場合には避難所運営用の備蓄分も提供できる。大地震など緊急時には感染防止よりもまず命を守る行動をとって」と呼び掛けた。事業所間連携のため、事務システムの共通様式化も提案した。
松岡裕之飯田保健所長は「コロナはたたりや呪いではない」として、正しい防止策により施設内感染の広がりを食い止められると強調。「今はなくても明日は分からない。いざとなった時に一斉検査できるようリストを整えて」と呼び掛けた。
県看護協会による福祉施設の感染対策相談窓口も紹介し、活用を呼び掛けた。
◎写真説明:コロナ禍の介護サービス継続を話し合う