ドクターヘリ 「地域事情こそ考慮すべき」、市立“落選”に疑問や反発

子育て・医療・福祉

[ 2011年 1月 28日 金曜日 15時35分 ]

 県内で2機目のドクターヘリの配備先について、県の検討委員会が「信州大学附属病院(松本市)が最適」とする検討結果を知事に報告したことを受け、県健康福祉部の桑島昭文部長らは26日、飯田市立病院への配備を要望してきた南信州広域連合長の牧野光朗・飯田市長や飯田下伊那の医療関係者、飯伊選出の県議らに選定結果を報告し、信大病院に至った経緯や理由を説明した。地元関係者からは「地域事情をまったく考慮していない」などの反発が相次ぎ、県の医療行政に対して「今回の検討結果を、全県の均衡ある発展にどうつなげるのか」などの疑問や注文も噴出した。

 桑島部長と医療推進課の角田道夫課長らが、県飯田合同庁舎で地元選出の県議らと、飯田市役所で牧野市長と飯伊地区包括医療協議会の唐沢弘文会長、飯田医師会の市瀬武彦会長らと意見を交わした。

 県側は「飯伊地域が一番ドクターヘリの要望が強く、ニーズがある」(桑島部長)との認識を伝えながらも、24日の検討委で「ヘリを継続的、安定的に運用するには専従の救急救命医が最低5人は必要」との基準が示されたことを報告。「配備先に決定した場合でも3人の飯田市立では、現在の病院機能の低下も危惧される」との検討委判断を伝え「苦しい選択だが、信大という結論になった」と理解を求めた。

 対して唐沢会長は、中山間へき地が多く、救急車の搬送に時間がかかる地理的事情や「安心」を望む住民感情を伝え「マンパワーでは大学病院にかなわない。ほかに考慮すべき要素があったはず」と疑問を呈し「切実にドクターヘリを求める一般住民の意見こそ重要ではないか。検討委の専門家の方々は、地域の実情を理解されていたのか」と訴えた。

 「一番要望が多く、必要な所へなぜ配備しないのか。遺憾どころではなく怒り心頭だ」との心情をあらわにしたのが市瀬会長。ドクターヘリの有効活動範囲(半径50キロ、20分以内)を踏まえ「佐久に1機目があり、松本には防災ヘリもある。しかし、こちらは1機もない。本当に不思議だ。ヘリが配備されれば救急医療を望む医師は集まるはず」と首をかしげた。

 南信州広域連合議会長の中島武津雄・飯田市議会議長は「地域ニーズに配慮して(知事は2機目を配備する)提案をされたととらえていた。地域住民の期待が大きかった分、失望も大きい」と市民感情を代弁した。

 議論にじっと耳を傾けていた牧野市長は結びに「(今回の件は)県政の一つのスタンスとして、今後も語り継がれる」と指摘。「検討委の結果をどう県が受け止め、県土全体の均衡ある発展にどうつなげるかが大きな課題。医師不足の解消こそ、県がセーフティーネット機能として果たすべき役割だが、その点の話が出なかったことが非常に残念」と述べ「県の役割」の再考を求めた。

 対談後に桑島部長は「地元の人たちのニーズや気持ちは十分理解しており、今回の内容を知事にしっかりと伝える」と約束。検討委が配備先に選定した信大病院に対し「南信地域への積極的な医師配置」を要望したことを踏まえ「県として、地域医療の向上にどのような支援ができるか考えていく。医師配置の協議、調整には積極的に関与していく」との考えを示した。

  

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