飯田市立病院(八幡町)は、がんの放射線治療に使う「リニアック」装置の更新期に伴い、本館北側の駐車場部分にリニアック棟を増築する。工期は10月から2017年8月までで、導入する最新装置(1基)の稼働を含む開設は17年度末を見込む。2日朝に現地で建設工事の安全祈願祭が行われた。
病院事務局によると、リニアックは体外から放射線を細胞に当て、がんを治療する装置。現在の装置は06年3月に更新して本館地階に設置しているが、稼働期限の目安(10年余)を迎えている。最新機器への更新にあたり、入れ替え調整に伴う放射線治療の空白期間が生じないよう、新たなリニアック棟の増築を決めた。
市立病院は「地域がん診療連携拠点病院」に指定されている。最新のリニアック機種の導入で、より正確な照射が可能となり、患者の負担軽減が期待されるという。治療患者数は現在の1日約30人、年間延べ約7500人を上回る数を想定している。
主に治療部門と診療部門を備えるリニアック棟は鉄筋コンクリート造の平屋建て約710平方メートルで建設。治療計画CT室やラルストロン(体内から放射線を照射する装置)室、診察室なども配置し、がん診療機能の充実を図る。
既存の駐車場の屋根や柱も活用し、病院本館と渡り廊下で結ぶ。外観構造はプライバシーなどに配慮。次期更新時も見据え、将来的な増築が可能な計画とする。
概算事業費は約11億6000万円で、内訳は建設工事6億4000万円、リニアック機器4億8000万円、設計関係4000万円。自主財源は3億6000万円、残りは起債でまかなう。
2日の安全祈願祭は施工業者が開き、市や病院関係者らが出席した。佐藤健副市長は「切れ目なく放射線治療を行うための増築工事。がん診療連携拠点病院としての役割を果たすべく、工期内の完成を願う」と話した。