南信州次世代会議のプロジェクトチームがこのほど、飯田市鼎名古熊のらく寿(田畑茶舗)で認知症カフェを初開設した。認知症を患っている人や介護などで支えている家族、興味のある人など20人が参加し、デザートを囲んだ気軽な雰囲気の中で交流を深めた。次回は9月の開催を計画している。
リニア中央新幹線の開業に向け、現役世代の住民が中心となって地域の将来像を描き、実践する次世代会議の中で立ち上がった「認知症カフェプロジェクト」が主催した。
参加しやすい環境にするため、民間のカフェを会場に設定して募集し、定員いっぱいの20人が集まった。
カフェならではの落ち着いた雰囲気の中、参加者たちはデザートのぜんざいなどを食べながら、和やかに交流。世間話などからはじめ、それぞれの状況などを打ち明けながら、交流した。
同市内の80歳の女性は、認知症を患う83歳の夫と参加した。「2人暮らしの老老介護だが、どう接していいか何もかもが分からず一人で悩んでいた」という。
「叱ってはいけないと聞いていたが、つい叱ってしまう…」と打ち明け、参加者たちにアドバイスを求めた。
同市内の68歳の女性は「少しでも外の空気に触れてほしい」と、患う70歳の夫と足を運んだ。世間話をしているうちに、しだいに表情を緩めていく夫の姿に目を細めた。
「家族同士が介護の苦しみや悩みを吐き出し、知恵を出し合ったり、励まし合う交流の場、また専門家も交えながら情報交換の場を提供したい」と企画した同プロジェクトチーム。
リーダーの村井倫子さんは「社会とつながっている民間のカフェに、ただ集まるだけでもリラックスにつながるということにあらためて気付かされた」と強調。「認知症の方も地域の中に溶け込み、どんどん社会に出て行く環境づくりが必要だと感じた」と話していた。