飯田広域消防本部は昨年度から2カ年計画で進めてきた消防救急デジタル無線施設と指令施設整備の仮運用を3日、開始した。GPSを使った災害(通報)場所の正確で迅速な把握や災害弱者からのEメールによる受信が可能になるなど、さまざまな事態に対応できるシステムを導入した。総事業費は約9億5000万円。庁舎内整備が完了する来年3月中旬をめどに本格運用を開始する。
新たな指令施設は、指令台がこれまでの2席から4席に増加し、大規模災害などで119番通報の混雑が見込まれる場合は最大6事案までの受け付けが可能になった。家庭や携帯電話、IP電話からの通報は位置情報通知システムにより場所をピンポイントで特定。体調不良などにより電話口で喋ることができなくても通報ができれば瞬時に位置を把握する。
またGPSで車両の動きを管理して支援活動に役立てる他、現場の状況をデータや映像で本部へ送ることもできる。消防職員と消防団員には火災の情報や発生場所について、地図を貼付した専用メールを配信して事態把握の迅速化につなげる。
デジタル無線化は、現在ある基地局施設を活用してアナログと同程度の電波カバー率を確保。既存の3局に加え、新規に根羽や売木、大鹿村に基地局を設置してアナログ時の不感地帯の一部を解消した。残る不感地帯での通信確保には衛星携帯電話と今回新たに導入、支援車に設置した可搬型衛星宇宙局VSAT(ブイサット)を活用する。
本格運用の来春までに、これまで使用していた指令室を災害時作戦室に、2階にあった警防課を3階に移設する整備を行う。同消防本部の警防課長は「管内の住民の安全安心を守るため、1分、1秒でも早く現場に駆けつけることができるよう、新システムをしっかり使いこなしていきたい」と話している。