県と県日中友好協会などでつくる実行委員会主催の第20回県中国帰国者日本語弁論大会が8日、長野市の信濃教育会館で開かれ、阿智村中関の中学3年生、吉越美月さん(14)が2位にあたる県日中友好協会長賞を受賞した。
大会には県内で暮らす帰国者とその家族9人が出場。来場者100人を前に、帰国前後の苦労や日本語を習得するために重ねた努力などを語った。
吉越さんは祖父が下水内郡岡山村(現飯山市)出身で、昨年3月に両親と3人で黒龍江省から永住帰国した。大会では「常に感謝の心を持って」と題して、帰国したころの喜びと悲しみ、日本語が話せるようになるにつれ中学生活が楽しく感じられるようになったこと、将来の夢が見えてきたことなどを発表した。
阿智村を初めて訪れた時「これからはこんないい所に住めるのかと思うとうれしくなった」と感じた吉越さんだが、中学では想像以上に高かった言葉の壁にはばまれ、寂しく悲しい日々が続いたという。
役場の紹介で通うようになった「阿智日本語教室」で懸命に言葉を学ぶと「学校でも友達が増え、家族や親戚の通訳もできるようになった」と振り返った。
吉越さんの当面の目標は高校進学。周囲に対する感謝を胸に努力を重ね「将来は日中の架け橋となり、世界平和につながる仕事をしたいです。それが、私を支えてくれているみなさんへのご恩返しです」と結んだ。
発音や読み方、中国語にはない助詞に注意しながら練習を重ねた吉越さんは、きれいな日本語で「うれしかった。びっくりした」と入賞を喜んだ。大会翌日に報告を受けた教師たちは「美月さんと関係者の努力が実って我々もうれしい。夢がかなうようこれからも頑張って」と祝福した。