JR東海は27日、台風18号の影響で土砂崩落が発生し、16日から運休している泰阜村のJR飯田線の門島駅―唐笠駅間について、「10月10日の始発から運転を再開する」と発表した。当初は3カ月程度を要すると見込んでいたものの、橋梁を点検したところ、想定していた付け替えの必要性がなかった。平岡駅(天龍村)―天竜峡駅(飯田市)間のバス代行輸送は9日まで。
崩落場所は中部電力米川発電所近くの胡桃橋梁や胡桃沢第二トンネルの区間。約500立法メートルの土砂が同発電所の施設の脇から線路上に流入し、同橋梁上部やトンネル内部を含めて、長さ40メートルにわたって堆積した。
直径1メートルを超える巨石も複数落下していたため、同社は19日の時点で橋梁部の付け替えが必要と想定し、「運転再開までに3カ月程度を要する」との見通しを示していた。
土砂の撤去を進め、詳細な調査をしたところ、鋼鉄製の同橋梁に大きな損傷はなく、付け替えずに使用できることが判明。現在進めている橋梁下部の土砂撤去などを完了した後、10月10日から全線の運転を再開するとした。
同区間では17日からバスによる代替輸送をしており、平日は通学・通勤者らを中心に1日400―500人が利用している。
飯田市役所で会見した同社工務部工事課長は「長期間の運休を覚悟したが、大幅な工期の短縮が可能になった。早期復旧に漕ぎ着けたい」と語った。
“想定外”の工期短縮に天龍村の大平巖村長は安堵の表情。「村民にとって飯田線は命の道の一つ。通勤通学者も多いため、早期復旧に感謝したい」と話していた。