[取材・文=仲井勇司]
飯田下伊那地域出身のロックユニットGLIM SPANKY(グリムスパンキー)による4枚目のフルアルバム「LOOKING FOR THE MAGIC(ルッキング・フォー・ザ・マジック)」は、メジャー音楽業界での同ユニットの立ち位置を映し出す作品でもある。収録された全11曲のうち8曲が商品PRなどと連動する「タイアップ曲」となっているからだ。今回の本欄ではグリムスパンキーの周辺事情を引用しながら、ポピュラー音楽市場におけるタイアップの意味を読み解く。
ユーミンからの称賛
先ごろグリムスパンキーの二人(松尾レミ=27・豊丘村出身、亀本寛貴=28・飯田市座光寺出身)は人気シンガーソングライターの「ユーミン」こと松任谷由実さんが司会を務めるラジオ番組「Yuming Chord(ユーミンコード)」に出演した。いうまでもなくユーミンは日本のポップスの進化を牽(けん)引してきた大スター。そのユーミンが番組の冒頭、二人の活躍ぶりに「お金のにおいがする!」と冗談交じりに突っ込みを入れた。
もちろんこれはグリムスパンキーに対する皮肉や、からかいではない。自身のアルバム総売り上げが3千万枚以上という別格の実績を持つユーミンだからこそ言える、“売れてる二人”への率直な誉め言葉だろう。ゲストを同番組に呼ぶこと自体がまれなユーミンだが終始グリムの活躍ぶりに共感し、曲作りへの激励を惜しまなかった。その後に出した「日本のロックもここまで成熟したんだなぁ」との称賛コメントにも実感がこもり、ウェブ媒体を中心に話題となった。
新曲で次々タイアップ
ポピュラー音楽市場でCDの売れ行きが鈍り、インターネット経由の「有料音楽配信」が台頭して久しい。ただ、配信サービスは1曲当たりの価格が250円程度と安価であるなどCD販売に比べると売り上げが伸びにくい。
そうした現状の中で最新アルバムに8曲ものタイアップ曲を収録したグリムスパンキーの“売れっ子ぶり”には目を見張るものがある。……
(続きは12月22日付の南信州新聞をお読みください)