飯田市議会の会派みらい(原勉会長)は19、20日の両日、リニア飯田駅の設置を見据えた先進地視察をした。市民にも開放し、新幹線駅を誘致した飯山や佐久市、新潟県の長岡や三条市を訪問。市街地と郊外それぞれに設置した事例を学び、リニア駅の魅力を最大限に導く地域づくりの検討材料にした。
5年後の北陸新幹線・飯山駅の開業を控える飯山市では、建設水道部の稲生孝部長や市新幹線駅周辺整備課の関谷竹志課長らから路線工事や区画整理の進ちょく状況、駅設置に向けたまちづくりの考え方などについて説明を聞いた。
同市内では、市街地を直線的に横断する形で約10キロの路線が伸びており、うち約2キロが地表に顔を出す明かり区間。駅舎は在来線駅がある中心市街地に建設予定で、市は迫る着工を前に周辺地域の区画整理を進めている。
稲生部長らは時間短縮で予想される正の効果を解説する一方、「広域圏が一つになって協議できる仕組みをつくらなければ、駅誘致の効果は十分発揮できない」と強調。同市が期待を寄せる観光振興について、「周辺市町村をどう巻き込んでいくかが課題だ」とした。
ハード面では、密集地に駅を設置することの難しさも指摘した。「郊外への整備に比べ、区画整理の費用は2倍程度まで膨らむ」との見方を伝えたほか、新駅から300メートルほど離れた商店街との結び付きをどのように深めるかについて「滞留性を高める検討に着手したばかりだ」と説明。人口流出防止を狙い、周辺整備事業エリアに地権者が移住できるゾーンを設けたことも伝えた。
ルート設定に関しては、地元が要望する機会がなかったことも明かした。「環境影響評価をした区間がそのまま経路になった」とし、停車数などの公表も現在まで行われていないとした。
ソフト面では複数の市民団体を設け、多くの市民を巻き込みながら土地利用計画や行動計画をまとめた経過を紹介。広がる夢と限られた費用の折り合いをつけることの難しさを伝え、今後の課題として挙げた。
視察には所属する市議5人と、公募に応じた6人の市民が参加。各市をめぐり、現地の行政や商工会議所の職員から話を聞いた。
原会長は「リニアではルート問題が先行しているが、飯田駅実現を見据え、市民を巻き込んだ地域づくりの検討がもっとも重要だ。早い段階からビジョンを定め、行政、経済界、市民の3者が一体となって地域づくりを考える必要がある」、一般参加した飯田商工会議所リニア推進対策室の熊谷秀樹室長は「市民の思いや熱意を結集させる仕組みづくりを考えていきたい」と話していた。