村井仁知事が7日、喬木村を視察し、村に古くから伝わる「阿島傘」の製作過程に触れたり農産物加工所、直売所などを見た。
降雹被害を現地視察した一昨年に続いて同村を訪問した。村職員、村議らが歓迎し、村井知事は「村民が1番信頼しているのが皆さん。地域が一層光り輝くよう努めてほしい」と呼び掛けた。
村内で唯一阿島傘を製造、販売している菅沼商店を訪ね、代表の菅沼良子さん(87)から阿島傘の起源を聞き、手作業で番傘を作り上げる様子を見た。また、扇形の和紙を張る「大張り」という作業を体験。代表の次女、中村八代子さん(60)の指導で和紙を骨組みに張り合わせ「簡単そうに見えるが、とっても難しい」と話していた。
阿島傘の保存と伝承に取り組む阿島傘の会会長、小林武司さん(82)によると、阿島傘は、江戸時代中期の1737(元文2)年に京都の旅人によって工法が伝わったとされる。戦後には約160戸、年間30万本が生産されていたものの、洋傘の普及などによって昭和20年代を境に徐々に衰退。いまでは菅沼商店のみ。菅沼代表は、後継者が不足している問題に触れ「今後も続くように力添えを」と知事に願った。
滞在時間はおよそ3時間。小池手造り農産物加工所、富田にある直売所「楽珍館」のほか氏乗のブルーベリー観光農園を視察した。村の南北約16キロにわたって柵を張り巡らすことを決めている鳥獣被害防止柵についても耳を傾けた。