泰阜村は11日、村議会全員協議会で、支所(同村温田)の窓口業務の温田郵便局への委託について説明した。委託内容は証明書の交付事務など入力代行や、郵送による取次事務など26業務。郵便局は証明書の交付事務を全国で約160自治体から受託し579局で取り扱っているが、窓口事務の包括的な受託は全国初という。
2年ほど前、日本郵便から「自治体と郵便局が連携して住民サービスにつながることができないか」との提案を受け、支所の証明書交付・届け出の受理、納税処理などの業務を委託できないか、検討を開始した。
検討の背景には、村内の金融機関減少がある。現在は郵便局を残すのみとなっており、将来の撤退を防ぐためにも、行政との連携を強化することで局の存在価値を高める狙い。行政事務と金融サービスのワンストップ化により、住民サービスの向上も図る。
また、温田郵便局は阿南町からの利用者も多く、同局の整備によりJR温田駅前を中心とする温田商栄会のにぎわい創出にもつなげたい構え。県道飯田富山佐久間線の南宮トンネルなどの整備により、同局前や駅前商店街への通行量が減る中、新たな人の流れを生み出したい。
一方で、住民異動届や印鑑登録などの事務は村の職員が直接行わなければならないため、届け出があった場合本所から村の職員が局に行く必要がある。各種代理人請求ができなくなり本所へ行く必要があるなど、一部サービスが低下するケースもある。
村は最低1年間は職員を局に常駐させるため、当面は局で従来通りのサービスが受けられる。住民異動届や印鑑登録事務、委任状による証明書の交付申請を郵便局職員でも行えるようにするためには、法律の改正が必要。横前明村長は「職員を常駐させ運用していく中で、総務省などの関係機関に早期の法律改正を要望していく」と話した。
村は8月1日からの委託開始を計画。局への業務委託契約や支所の設置に関する条例改正など議決が必要となるため、18日に関連議案2議案を追加提出する。
◎写真説明:支所の窓口業務を委託する温田郵便局