飯田市議会第1回(3月)定例会は28日開会し、会期を3月22日までの24日間と正式に決定した後、市側が提出した即決議案3件を承認、人事案3件を即決、総額424億1900万円の2012年度一般会計予算案をはじめ各特別会計予算案、介護保険条例の一部改正案など51件議案を説明、質疑の後、委員会に付託した。このうち、損害賠償事案の議会への未報告案件はじめ、システムの不具合による税の賦課漏れ、老人保護措置費の過払いなど一連の不祥事に対する責任をとり、市長の3月支給の給料を20%減額するための条例の一部改正案は、即日採決し、可決した。
一連の不祥事について、牧野光朗市長は冒頭あいさつ(施政所信表明)の中で「多くの皆さんに多大な迷惑、心配をお掛けしたことを心からお詫び申し上げる」と陳謝。「これまで、各案件について、両副市長の譴責処分を含む関係職員の処分と指導を行ってきたが、一連の事案が生じたことについて、組織の長として自ら襟を正し、けじめをつけ、もって組織の規律を立て直すため、私自身を減給処分としたい」と説明した。
環境影響評価方法書にする知事意見が提出されたリニア中央新幹線について「今後、提出された意見を踏まえて環境影響調査が進められることになる。JR東海に十分な調査を行ってもらった上で、環境配慮が行き届いた計画のもと、早期実現に向け、地域一丸となって取り組んでいきたい」と強調。
下伊那地方事務所が南信州広域連合と連携して実施する、リニアを見据えた地域づくりの基礎調査について「行政の枠を越えた土地利用の方針や景観の保全、リニアへのアクセスについて議論が深められる」と期待を寄せた。飯田市は新年度からリニア将来ビジョンの実現に向けたリニア推進ロードマップの検討を行っていく。これに並行して、土地利用のあり方や飯田市全体の道路ネットワークについての基礎的な調査にも着手する方針を示した。
12年度は後期基本計画の初年度であるとともに、10月に牧野市長の2期目の任期満了を迎える。「耕しと種まき」の段階と位置づけた1期目の4年間、リーマンショックに端を発する世界同時不況のなか「視界不良の嵐の中の船出」となった2期目を振り返った牧野市長は、3期目の去就について「地域を取り巻く環境がこれほど厳しいなか、自分に何ができるのか、よくよく熟慮の上、然るべき時期に自らの判断を示したい」と態度表明を留保。
「課題山積の厳しい時代にあっても、このすばらしい地域をリニア時代の主役になる次世代に受け継いでいってもらいたい。そんな思いを持ちながら、変化の激しい地域を取り巻く状況を的確に捉え、将来に誤りなきよう、市民の皆さんと共に『文化経済自立都市』を目指して、残された2期目の任期を全うしたい」と述べるにとどめた。