任期満了(10月27日)に伴う飯田市長選で、現職4期目の牧野光朗氏(58)=無所属、八幡町=が25日、5選を目指して立候補する意向を表明した。この日開会した市議会3月定例会の冒頭あいさつで「もう少しで手が届くところまできているリニア時代の飯田の絵姿を確たるものにする」などと述べた。同市長選への出馬表明は初めて。
人口減少に歯止めをかけ、市民が魅力的な生活を送るといったリニア時代の絵姿を描く。記者会見した牧野氏は「(絵姿の実現には)リニア時代に向けた事業を確実に軌道に乗せることが重要」と指摘した。
「地域の将来を開く段階まできている」と手応えを示した一方、軌道に乗せるまでにはもう少し時間が必要との認識で、「積み重ねてきたものをここで投げ出すことはできない」と語った。
人口減の右肩下がりの時代に、「飯田は変えていくことができる」とも。4期15年余を振り返ると、これまで築いた人的ネットワーク、知見や経験を最大限活用して「絵姿を実現する」と強調した。
1月10日の年頭記者会見で、牧野氏は進退に言及。判断の具体的な時期については「予算編成する中でどこまでやれるのか自分の中で整理し、その後になる」と述べ、20年度当初予算案を発表した今月18日の定例会見では「(予算編成を通して)置かれている立場を再認識した。そのことを踏まえて明らかにしないといけない」と述べていた。
牧野氏は新人4人による2004年の市長選に勝って初当選し、08年は現新の一騎打ちを制して再選を果たしている。12年の前々回と16年の前回は無投票。現在4期目で、全国市長会副会長(地方創生担当)。早大政治経済学部卒、日本政策投資銀行出身。
市長選を巡っては、前副市長で地方公務員共済組合連合会(東京都)事務局長の佐藤健氏(52)=無所属、鼎名古熊=が出馬の意向を固め、来月に総務省に辞表を提出して準備を進める構えだ。
市長選は2期連続で無投票で決まっている。選挙戦を通じて身近な自治や暮らしの問題について議論を深める機会が失われ、市民からは「リニア時代を迎える大事な時に住民の行政離れが加速しかねない」との懸念が出ている。
選挙戦となれば12年ぶりとなる。
◎写真説明:出馬表明する牧野市長