飯田市議会(上澤義一議長)は建設環境委員会(原和世委員長)を中心に検討を進めてきた不法投棄対策に関する提言をまとめ、19日に市役所で牧野光朗市長に示した。先月の全市議対象の政策討論会の内容も反映し、工事現場を含む事業所へのモラル啓発や国への制度改善要求などのほか、関連条例の必要性を指摘。条例制定にあたっては「ポイ捨て」も不法投棄であることを明記し、懲戒規定を含むよう求めた。
上澤議長は「ごみのないきれいなまちにするべく検討を重ねてきた。条例を求める意見も多く、一定の方向付けが必要。環境文化都市にふさわしい取り組みを願う」と要望。牧野市長は「提言は大変ありがたく、不法投棄対策をより充実させる。今後もさまざまな施策で(提言する)議会の役割を果たしてほしい」と話した。
条例関連は市内20地区のまちづくり委員会の担当者でつくる「環境衛生担当委員会連絡会」が検討を進めており、今回の議会提言でも制定にあたっては多くの市民参加に努めるよう要望した。
「ポイ捨て」の定義は「空き缶、空き瓶、ペットボトル、犬猫のフン、タバコの吸殻、紙おむつ、釣り針など、手元のいらないものを所構わず捨てること」と例示。懲戒規定は「指導・勧告・命令・公表」の流れを想定した。
このほか提言は、生産者や販売事業者への義務付加の検討、南信州広域連合や県などとの連携強化も柱。拡大生産者責任、容器包装のデポジット制度の実現に向けた国への働き掛けも求めた。
モラル向上策として▽優良事例の全市展開▽不法投棄現場の見学▽工事現場事務所を含む事業所への働き掛け▽「ごみゼロ運動」への小中高生の参加促進―などを期待。不法投棄を「されない、させない活動」として▽家電リサイクル法の周知徹底▽テレビやタイヤなどの定期的な特別回収―などを挙げた。
提言に至る取り組みは、2011年度の議会報告会で出た「ポイ捨て条例の制定検討を」などの意見を受け、建設環境委で昨年4月に開始。先進地視察や飯田工業高ISO委員会との懇談なども重ねた。1月には全議員参加による初の政策討論会を不法投棄対策をテーマに行った。